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令和3年度地域別最低賃金額改定について~中央最低賃金審議会が厚生労働大臣に答申

飯塚匡春

2021.08.25

最低賃金とは

7月16日(金)に中央最低賃金審議会で今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。
引上げ額の目安はすべての都道府県で28円となり、昭和53年度に目安制度が始まって以来、最高額となりました。この目安の通り各都道府県の最低賃金が改定されることになると、東京都の最低賃金は1,041円/時間になります。月の所定労働時間が160時間だった場合、月額4,480円の引き上げになります。

そもそも最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を
労働者に支払う制度です。最低賃金には、都道府県ごとの「地域別最低賃金」と、特定の産業に適用される「特定最低
賃金」の2種類があります。今回、中央最低賃金審議会で議論されたのは「地域別最低賃金」です。

 

最低賃金決定までのプロセス

最低賃金は、最低賃金審議会において、賃金の実態調査結果などを参考に、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払能力の3要素を考慮して決定されます。現在、厚生労働省に置かれている中央最低賃金審議会が、毎年、地域別最低賃金額改定の「目安」を作成し、各都道府県の地方最低賃金審議会に提示し、この「目安」を参考に地方最低賃金審議会で地域別最低賃金が審議され、都道府県労働局長が決定する流れになっています。この「目安」は拘束力がないものの、各都道府県の決定に大きく影響しているのも事実です。

最低賃金額以上かどうかの確認

今後、地方最低賃金審議会の審議を経て都道府県労働局長が今年度の最低賃金が決定し、本年10月より適用されることになる予定になっています。各社様におかれましては、今回示された目安通り(東京都では1,041円/時間)に改定された場合に備え、支払う賃金が最低賃金額以上になっているかチェックが必要です。最低賃金とは「毎月支払われる基本的な賃金」であり、以下の賃金を除外したものとなります。

(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える
部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に則り50万円以下の罰金が科せられる場合がありますので、地域別最低賃金の改定まで目が離せません。

【参考URL】
・令和3年度地域別最低賃金額改定の目安について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19902.html
・最低賃金の対象となる賃金(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-12.htm
・最低賃金額以上かどうかを確認する方法(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-13.htm

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