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社会保険労務士

労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)が、2022年4月から中小企業でも施行されます。

野崎洋史

2021.12.06

パワーハラスメントとは

こんにちは

労務コンサルタントの野崎です。

今回はパワハラ防止法について解説していきたいと思います。

労働施策総合推進法の正式名称は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」です。2019年5月の改正に当たり、新たにパワハラの防止に関する規定が新設されたため、別名「パワハラ防止法」と呼ばれています。

大企業では2020年6月から既に施行されておりますが、中小企業でも2022年4月から施行されます。これにより、2022年4月以降、すべての企業に対し、法的に明確化されたパワハラ基準に基づく具体的な防止措置への取り組みが義務づけられます。

  • 企業の「職場におけるパワハラに関する方針」を明確化し、労働者への周知、啓発を行うこと
  • 労働者からの苦情を含む相談に応じ、適切な対策を講じるために必要な体制を整備すること
  • 職場におけるパワハラの相談を受けた場合、事実関係の迅速かつ正確な確認と適正な対処を行うこと

パワーハラスメントの定義・パワーハラスメント認定の要素

パワーハラスメントの定義

★職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること

 

パワーハラスメント認定の要素

① 優越的な関係
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること
③ 労働者の就業環境を害すること

 

?優越的な関係とは・・・・・

パワハラと聞くと、通常は、職務上の地位が上位である上司から部下に対する関係がイメージされるでしょう。しかしながら、パワハラは、必ずしも上司・部下の関係に限らず、部下から上司に対して、同僚間でも生じ得ます。
実際に、パワハラ指針においては、「優越的な関係」について、以下のように示されています。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「優越的な関係を背景とした」言動とは、当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が当該言動の行為者とされる者(以下「行為者」という。)に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指し、例えば、以下のもの等が含まれる。
■ 職務上の地位が上位の者による言動
■ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
■ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――--

 

 

最近では、「逆パワハラ」や「ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)」等といった言葉も耳にするようになっています。これは、企業がハラスメント対策・防止に注意を払っていること等を利用して、部下から上司に対して行われるハラスメントです。

中小企業がとるべき取組みや措置

  1. パワハラ指針によると、企業が、雇用管理上講ずべき措置の具体的な内容は、以下のとおりです。

     

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ① 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
    ② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
    ③ 職場おけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
    ④ その他①ないし③の措置と併せて講ずべき措置(プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――—–

    中小企業におけるパワハラ対策、第一歩は「規則の整備」とともに「企業がパワハラ対策を講じていること」を従業員に知ってもらうことです。

    それと同時に、以下の点を就業規則(あるいは「ハラスメント規程」など)に盛り込むことが求められています。

     

    今回の労働施策総合推進法改正を踏まえて、中小企業においても、職場における人間関係や相談体制を見直し、より良い職場環境を構築していきましょう。

もしご相談がございましたら弊所へお問い合わせください。

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