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パワハラが発生したときに企業が追う「責任」と「罰則」は?

飯塚匡春

2022.09.03

パワハラが発生したときに企業が追う「責任」と「罰則」は?

パワハラ防止法で定められた義務を違反するとどうなるのでしょうか?

結論としては、パワハラ防止法には罰則はありません

 

しかし、事業主が講ずるべき措置が努力義務として定められているため

怠ると訴訟に発展する可能性があります。

 

 

<<使用者責任>>

雇用する労働者が職場においてパワハラを行い

被害者が精神的な苦痛を受けたり病気になったりした場合

会社は労働者の不法行為(パワハラ)について、使用者として責任を負うこと

 

会社が労働者の選任や監督に相当な注意を払っていれば免責されるが

裁判に発展したケースにおいて、会社の使用者責任が免責された例はほとんどない。

 

<<不法行為責任>>

労働者が職場において行ったパワハラ行為が、

会社の意思に基づいており、会社そのものの行為だといえる場合

会社は不法行為責任を負う(民法709条)

会社の不法行為責任が問われ、被害者に対して損害賠償責任を負う可能性がある。

 

<<債務不履行責任>>

パワハラが行われた場合、会社は、

労働者に対して負う職場環境配慮義務に違反したとして、債務不履行責任(※)を負う可能性がある。

(※)契約に違反するなど、義務を果たさなかったことにより生じた損害を賠償しなければならない責任のこと。

パワハラが社内で発生してしまったことで起こりうる損失

パワハラの発生が会社に与える悪影響は様々です。

 

<<以下の例が挙げられます>>

・被害者の労働意欲の低下

・職場環境の悪化

・被害者や他の従業員の離職

・人手不足による生産性の低下

・被害者からの損害賠償請求のおそれ

・公表による社会的評価の低下

 

一度パワハラが起きてしまうと、その時だけの問題で済まないので注意が必要です。

人材が流出したため補填しようと思っても、

ネットでの評判が下がっているとなかなか採用も難しくなってしまいます。

ネガティブな評判をWeb上から削除することは難しく

依頼したとしても大きな費用がかかってしまいます。

 

 

パワハラが行われた場合、パワハラを行った加害者本人はもちろん

加害者を雇用している会社も責任を負う可能性があります。

 

 

たとえば、

・使用者責任(民法715条1項本文)

・会社自体の不法行為責任(民法709条)

・債務不履行責任(民法415条1項本文) などを問われ

 

損害賠償請求が認められる可能性もあります。

最後に

パワハラ防止法を義務違反した場合」「パワハラが発生した場合の損失」についてお届けしました。


以上の通り、会社にとってもリスクがとても大きいことがわかります。

パワハラが起きないように、社内で管理を徹底することが大切だと言えるでしょう。

 

次回は、「社内でパワハラを防止する具体的な対策方法」や

パワハラ防止対策における中小企業の事例」についてご紹介いたします。

 

社会保険労務士法人ADEPTは、

人事担当者や従業員が抱えている問題に対して解決するために、

様々な視点から解決方法やノウハウなどを取り上げて参ります。

 

引き続き、社会保険労務士法人ADEPTをどうぞよろしくお願いいたします。

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