お役立ちブログ

社会保険労務士

マタハラ編②~事業主に義務化される「マタハラ防止措置」への対応方法

飯塚匡春

2022.10.26

マタハラとは?男女雇用機会均等法で義務付けられていること

マタハラ防止措置は事業主の義務?対応方法は?

妊娠・出産において嫌がらせを受ける「マタハラ(正式名称:マタニティハラスメント)」。
新聞やニュースでも取り上げられることが増え、依然として相談件数も非常に多いままです。

今回は、マタハラ防止措置と対応方法について解説いたします。

制度・措置を利用することへの嫌がらせ

◆マタハラ防止措置が必要となる事例

 

①解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの
 →産前休業の取得を上司に相談したが、「休むなら辞めてもらう」と言われた

②制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの
 →男性社員が育児休業の取得について上司に相談したが、「男のくせに育児休業をとるなんて」と言われ、取得をあきらめざるを得なくなった

③制度等を利用したことにより嫌がらせなどをするもの
 →上司や同僚が「時短勤務をするなんて周りを考えていない、迷惑だ」と継続的に言われる

マタハラ対策は事業主の義務

では、具体的に企業がマタハラ対策を講じるとは、どのようなことを指すのでしょうか。

厚生労働大臣の指針により事業主の義務として定められています。 具体的なマタハラ対策としては、以下の措置が挙げられています。

 

・マタハラに対する制度や処置の周知
・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・職場におけるマタハラへの事後の迅速かつ適切な対応
・マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置

 
◆制度や処置の周知
 
事業主はマタハラ対策として、以下の内容をトップ自らを社員に周知する必要があります。
社内報やパンフレット、HPなど、全社員が目にすることができる媒体で、周知徹底しましょう。

・マタハラに該当する内容
・利用できる制度 マタハラとみなされる言動をした者に対して下される処置

 
◆相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
 
事業主は、以下の体制をとり、社内でのマタハラに対処する必要があります。
いざという時の相談窓口を設けることで、妊娠・出産しながらでも安心して働くことができます。

・社内にマタハラの相談窓口を設置する
・窓口の担当者は内容や状況に応じ適切に対応できるようにする

 
◆職場におけるマタハラへの事後の迅速かつ適切な対応
 
マタハラが発生した際には、事業主は以下のように対処する必要があります。

・事実関係を迅速かつ正確に確認する
・事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置および行為者に対する措置を適正に行う
・再発防止に向けた措置を講ずる

 
 
◆マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置
 
そもそもマタハラを発生させないよう、背景を理解し要因を解消する必要があります。 マタハラの発生要因を取り除くことが、何より重要なのです。

・業務体制を整備する
妊娠した労働者およびその他の労働者の実情に応じて必要な措置を講ずる

まとめ

今回は、マタハラ防止措置と対応方法について紹介しました。

事業主の方は、自社でマタハラが起きないように社内周知をおこなうとともに、万一発生してしまった際の対応までを求められます。

とはいえ、ハラスメントは制度や施策を整備してもなかなか対策しきれないものです。

そのため、お互いの相互理解ができるように普段からコミュニケーションの機会を設けることが重要なのではないでしょうか。一方的に相手を傷つけてしまうことを減らすには、相手の立場になって考える必要があります。

事業主と従業員が一体となってハラスメント防止に努めていける環境づくりに取り組んでいきたいものです。

次回は、「マタハラになり得る事例」「マタハラ防止の対応事例」ついてお届けしますのでお楽しみに。

 

社会保険労務士法人ADEPTでは、人事担当者や従業員が抱えている問題に対して解決する

ために、様々な視点から解決方法やノウハウなどを取り上げて参ります。

労務相談は弊社担当者までお気軽にご相談ください。

関連記事
ランキング
タグ
お問い合わせ
Contact
お電話でのお問い合わせ
営業時間 9:00~17:00 ( 休業日 土・日・祝日 )